小児に多く見られる麻疹、ムンプスなどの感染症は、測定方法が多数あり、すべてを頭の中に入れておくことは困難です。提出の前に、測定方法を確認することが無難でしょう。また、普段から測定している場合でも、その結果に対する評価をしっかりと理解しておく必要があります。
急性期の診断 | 免疫状態の確認 | 注意事項 | |||
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単回検査 | ペア血清 | 第一選択 | 第二選択 | ||
麻疹 | EIA(IgM) | NT法 | EIA(IgG) | NT法、(PA法) | |
風疹 | EIA(IgM) | HI法 | HI法 | EIA(IgG) | HI法16倍以下は抗体価が不十分。 |
ムンプス | EIA(IgM) | NT法 | EIA(IgG) | ||
水痘 | EIA(IgM) | IAHI法 | IAHI法 | EIA(IgG) | 他に皮内テスト(水痘抗原)が有用。 |
検査目的により、上記測定方法から適切なものを選んでください。たとえば、、妊婦の風疹抗体価のように、十分な感染防御免疫があるのか知りたいときは、EIAのように感度の高い検査では、かえって判断がしにくくなってしまいます。この場合は、あえてHI法のように防御レベルが推測できる検査を選ぶことがよいのでしょう。逆に発疹症のように高感度で測定したい場合はEIAになるでしょう。
ムンプスは迷わずEIAがよいでしょう。
CF法は急性期の診断価値は高いのですが、既往の検査には不適です。
風疹抗体価に関しては、平成16年、先天性風疹症候群増加を受けて緊急通達が出されました。HIで16倍までは危険と考え、出産後早期のワクチン接種が推奨されています。
既往の検査目的で”受診”された場合、厳密には保険診療には該当しませんが、症状があっての抗体検査は保険診療に該当します。ただし、EIA法ではIgGとIgMの同時測定は一方しか請求できません。また、麻疹と風疹など複数の抗体価を同時に測定することは認められない可能性が高いでしょう。